絶対安全剃刀―高野文子作品集の紹介 : 安全な暮らしの為に防犯・防災対策
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絶対安全剃刀―高野文子作品集

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定価 : ¥ 1,019
販売元 : 白泉社
発売日 : 1982-01

価格 商品名
¥ 1,019 絶対安全剃刀―高野文子作品集

高野文子初の単行本。1977年から81年に発表された17の短編をまとめたもの。死を迎えた少女が観音とともに「祝い」の支度をする「ふとん」。「ただなんとなく」自殺を図る少年を描いた表題作の「絶対安全剃刀」。傍若無人な姉と賢い弟のシニカルなおとぎばなし「アネサとオジ」。「女の子」扱いされることに激しく反発する女子大生を描く「うしろあたま」。静かでありながら、ざわざわと心が揺れるような秀作が並ぶ。 特に強い印象を残すのは、「田辺のつる」(1980年)だ。老いて、気持ちが少女時代に戻ってしまった82歳の老女「田辺つる」を、高野はかわいらしいおかっぱ頭の少女の姿で描いてみせる。孫の部屋から追い出され、ドアの向こうから「こわいのー あけてー」と舌足らずな調子で許しを乞ううち、突然「あなた はやまったことしないでください 私達どうしたらいいんですか」「あけてください!」と不穏なセリフを放つ、つる。このシーンには閉じられたドアとセリフだけでつるの姿は描かれてはおらず、読者の頭には82年という重みを持った老女の存在が、ふいに生々しく浮かび上がる。 意外な場面を意外なアングルから切り取った独特の構図は、初期作品から見ることができる。人物などの絵柄は少女漫画風に細かく描きこまれたものと、少ない線ですっきりと描かれたものとが混在しており、作品ごとに印象は大きく異なる。高野作品のスタイルが確立される前の試行錯誤の様子がわかる、貴重な短編集だ。(門倉紫麻)

不思議になつかしい話の手ざわり

 ラムネのサイダーの味がする、不思議になつかしい感触の話がいくつも入っていますね。1977年9月の作品「花」から、1981年9月の「玄関」まで、足かけ四年にわたる高野文子さんの漫画掌篇が全部で十七、収められています。
 収録順に、「たあたあたあと遠くで銃の鳴く声がする」「花」「はい 背すじを伸してワタシノバンデス」「絶対安全剃刀(かみそり)」「1+1+1=0」「おすわりあそべ」「ふとん」「方南町経由新宿駅西口京王百貨店前行」「田辺のつる」「アネサとオジ」「あぜみちロードにセクシーねえちゃん」「うらがえしの黒い猫」「午前10:00の家鴨(あひる)」「早道節用守(はやみちせつようのまもり)」「いこいの宿」「うしろあたま」「玄関」。
 「えっ?」といううちに終わってしまった話もあった中、気に入った話を挙げてみますね。
◎「ふとん」・・・・・おかっぱ頭の女の子が、観音様にだだこねる様子が可愛い。
◎「田辺のつる」・・・・・おばあちゃんを彼女の気持ちのまんま、おかっぱ頭の女の子として描いているセンスが素晴らしい。
◎「アネサとオジ」・・・・・アダムス・ファミリーのウェンズデーの能面を崩したみたいな“アネサ”のキャラが愉快。
◎「うらがえしの黒い猫」・・・・・ブラッドベリの「四月の魔女」のセシーを彷彿させる少女が素敵。
◎「早道節用守」・・・・・大江戸から天竺まで、大海原もひとっ飛びの奇想天外、大風呂敷を広げた話にわくわく。
◎「玄関」・・・・・小津映画でも見ているみたいな、なつかしく清々しい絵のたたずまい。ちょいと、しんみりしちまいやした。

高野文子は怖いひと

高野文子は抜群に絵がうまい。
せりふもふるまいも、どこかほわほわしてるのに、
日常に何気なく落ちている悪意を拾い出して、
「こんなの見つけちゃった」と差し出されたような、
そんな無邪気さに、ほんとにどきりとさせられてしまう。
漫画って一口に言っても可能性が広いもんなんだなあ、
と、初めてこの本を読んだとき感じた。
高野文子の漫画ははおもしろくて、でも、とってもこわい。

胸がどきどき

たあたあたあと銃の泣く音がする、といきなり出てくる。はっきり言って意味がわからない。いったい、何なのさ??? と思って読み始めたときは、このマンガ家にはついて行けないわい、と思った。ところが、読み進めるうちに、ぐいぐい引き込まれていく。
読んでわかったのは、この作者はぼくと同年代の同郷人だということ。そうそう、ぼくらの青春時代(*^^*)はこんな感じだったんだよねぇ〜と、ものすごく共感してしまった。そういう心の細かなひだまできっちりとコマの中に描ききってしまう表現力(絵、セリフ、ストーリー)がものすごい。読み進めると、年甲斐もなく、なんだかわからない胸のトキメキでどきどきしてしまうのでありました。

人生を犠牲にしないマンガ生活

高野文子の「絶対安全剃刀」は呉智英の「現代マンガの全体像」で紹介されている。それを読んでこの本を買おうと思った。どの作品も印象深いものばかりです。何度も読んで雰囲気を味わったものだ。この作品では主に若い女性の心象を題材にしている。どきっとする表現も少なくない。ほかの作品集「おともだち」の「盛子様のひな祭り」もお気に入りだ。「盛子様の怒りが頂点に達したとき」などというフレーズは何度思い出しても笑ってしまう。著者のマンガに対するスタンスも好感が持てる。ご存知のように極めて寡作です。自分の生活を大事にしつつマンガへの情熱も捨てない。肩の力を抜いたエンターテインメントで読者をリラックスさせるちからはそういう著者の生き方も影響していると思う。

絵と言葉の繊細さに漫画のさらなる可能性を感じる

短編集である。
物語のスタイルや掲載誌もバラバラで、“高野文子作品”であるという以外には、何も共通点はない。
国籍不明の場所、子供のころに見た場所、普通の茶の間、でもそこには絵だけでは表現できない、文字だけでも表現できない、漫画だけが持つ力があふれている。
老人の“ぼけ”という深刻なテーマを扱った“田辺のつる”は発表当時から大変に評価が高いが、個人的に一番好きなのは、観音様と死んでしまった少女の話。
わたしが死んだら、あんな観音様が迎えにきてくれないかなぁ。
とにかく、読んで!

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